日本の転換期 ― 高市政権誕生を瀬戸内の地方から見て

エッセイ / Essay

日本で初めて女性の首相が誕生します。
30年以上にわたり「変わらない国」と言われ続けてきた日本が、ようやく大きな転換点を迎えようとしています。
その瞬間を、瀬戸内地方で静かに暮らしながら見つめる一人の日本人としての実感をここに記しておきたいと思います。

私は「氷河期世代」と呼ばれる時代を生きてきました。
学校を卒業しても多くの就職先はなく、就職できたとしても給料は上がらず、努力が報われない社会構造の中で生きてきました。
当時の私は、政治家の言葉はどれも同じに聞こえ、「誰がやっても変わらない」と思っていたのです。
実際、私が29年前に勤めた会社から貰った初任給と、いま自営業を営む者として毎月の売上の金額がほとんど変わらない現実があります。この国は、長い間「諦めの空気」に包まれていたと感じます。

しかし今回、女性である高市早苗氏が自由民主党の総裁に選ばれ、日本初の女性首相となることが決まりました。
さらに、吉村洋文氏が代表を務める政党・日本維新の会との連立構想が示されたことで、これまでとはまったく違う“熱量”が政治の中心に生まれています。

テレビやSNSで見ても、二人の表情、言葉、そして目の輝きがこれまでの政治家とはまるで違う。
私はその姿から「本気でこの国を変えようとしている」という意志を感じます。言葉の温度が、時代を動かすのだと思います。

地方で暮らしていると、政治の話題が日常会話に上ることはほとんどありません。
しかし今回の総裁選から連立構想にかけて、SNS上では驚くほど多くの人々が政治に反応していました。X(旧Twitter)やYouTubeのコメント欄では、若い世代から中年層までが「今回は違う」「やっとまともな政治家が出てきた」と発言し、トレンドには高市・吉村両氏の名前が何度も上がりました。

それは単なる政治ニュースではなく、長いあいだ無関心でいることを“諦め”として受け入れていた国民が、再び政治を語り始めた瞬間だったのかもしれません。
地方で暮らす私にとっても、SNSを通じて全国の反応を肌で感じたこの数日は、確かに「日本が動き出した」と思える出来事でした。

私はこれまでマレーシアやタイで暮らした経験があります。私が海外で働こうと思ったのは、日本での生活に希望を持てなかった、という理由があったからです。
しかし、私が海外で暮らすなかで、改めて日本を見て痛感したのは「日本の魅力はまだ使い切られていない」ということです。

美しい風景、礼儀正しさ、食文化、そして安心して暮らせる社会。
しかし同時に、それらを生かす“仕組み”を作る政治が欠けていると思っていました。だからこそ、今の変化は日本人にとって最後のチャンスかもしれません。

高市政権の誕生は、単なる政権交代ではなく「意識の転換」だと思っています。
この国を動かすのは、政策よりも“本気の意思”です。
私は瀬戸内の小さな町で、雨音や自然音を撮影して世界へ発信していますが、地方からでも世界に伝えられる時代が来たように、政治もまた“中央だけが動かす時代”から脱しようとしているのではないでしょうか。

政治を信じられなかった時代を生きてきたからこそ、今、信じてみようと思える人が現れたことが、何より嬉しい。
ようやく日本が再び立ち上がろうとしている。瀬戸内の静かな波を見ながら、私はそう感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました