私が運営しているYouTubeチャンネル「Setouchi Ambience」で、音のクオリティは視聴体験に直結する重要な要素です。今回は、私がTASCAM Portacapture X8を導入したきっかけから、実際の使用感までをご紹介します。
旧モデルからの乗り換え理由
これまで使用していたのは、同じTASCAM製のDR-07X。コンパクトで扱いやすく、大きな不満はありませんでした。しかし、以下のような点が少しずつ気になってきました。
- タッチノイズが目立つ
- 落下による破損(乾電池のフタが破損)
- 電子ノイズを拾いやすい(特に電車内など)
DR-07Xは本体がプラスチック製ということもあり、長時間・高精細な録音にはやや限界を感じていました。
Portacapture X8を検討し始めてから購入するまで。
私は日頃からYouTube動画の音質を(もっと良い音にしたいな)と思っていたので、次にもし買うならTASCAM DR-100MKIIIかなと思っていました。
しかし、ある日、YouTubeを観ていたらTASCAMの製品の中に「Portacapture」という商品があるということを知りました。少しずつ調べていくと、最近発売開始した新製品であること、録音レベルを気にせず収録できる「32bitフロート録音」という機能が備わっていることを知りました。
気になり始めたら徹底的に調べたがるのが私。
Portacaptureでどんな音が録音できるのかをYouTubeで調べていくと、私が愛用しているバイノーラルマイクであるAdphox BME-200とPortacapture X8で録音した雨音の動画を見つけました。
私は、この動画の雨音がとても心地良いと感じたのです。この動画と出会ったことで、私はPortacapture X8を買うことに決めました。
購入後、実際にこの機材の実力を確かめる機会は、思いがけない形で訪れました。ある深夜、香川県宇多津町の「郷照寺」で、遠くの空がかすかに光り始めたのです。雷雨の前触れでした。私はすぐに録音準備を整え、この瞬間こそがPortacapture X8の真価を試す絶好のチャンスだと感じました。
郷照寺で体感した「32bit録音」の真価
録音を開始したのは深夜23時ごろ。宇多津町の古い街並みに囲まれた郷照寺は、まるで時間が止まったような静けさに包まれていました。最初は、雨粒が葉を優しく叩く程度の静かな雨。やがて遠くの雷鳴が近づき、空気の密度が変わるのを肌で感じました。
そして、突然、夜空を切り裂くような稲妻が走り、郷照寺の上空に響き渡りました。その瞬間も、TASCAM Portacapture X8は音割れすることなく、雨の繊細な滴から雷鳴の爆発的なエネルギーまで、見事に記録してくれたのです。録音を再生したとき、私はまるで現場に立ち戻ったかのような臨場感に鳥肌が立ちました。
小さな雨音から稲妻まで、すべてを拾う感度
この録音で特に感動したのは、最初の雨粒が葉を優しく叩く程度の静かな雨音がしっかり記録されていたことです。Portacapture X8の32bitフロート録音は、音が大きくても小さくても、すべての音を同時にバランスよく収めてくれます。以前のDR-07Xでは、こうした細かい音の表現や急な音圧変化には限界を感じていたので、この進化には本当に驚かされました。

録音設定と使用環境
録音設定は「32bit float / 96kHz」。マイクにはAdphox BME-200を使用し、Hosa YMM-492ケーブルで接続しました。低域の風音を防ぐためにローカットフィルターをONに設定。雨の日の屋外撮影でも、風防をしっかり装着すればクリアな音を収録できます。
ディスプレイは大きく視認性が良いため、夜間でも録音状態を確認しやすいのも魅力です。
実際の録音を聴く
この夜に収録した雷鳴の音は、YouTubeチャンネル「Setouchi Ambience」で公開しています。
以下の映像で、Portacapture X8がどのように自然音を正確に記録しているかをご体感ください。
まとめ
TASCAM Portacapture X8は、私のように屋外で自然音や雨音を収録する人にとって、信頼できる相棒です。
雷の爆音から小雨の静けさまで、どんな状況でも臨場感を損なわずに録音できる。
この1本があれば、「音が伝える映像世界」をさらに深く表現できると思います。


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