香川県は大雨が降る予報であっても雨が降らない!― 瀬戸内特有の“雨を避ける地形”とは ―

動画撮影日記

2025年5月24日。
この日の瀬戸内地方は「朝から夕方まで大雨になる」と予報されていました。
ところが、実際に香川県では予報に反してほとんど雨が降らなかったのです。

私はこの日、栗林公園玉藻公園(高松城跡)、そして岡山県の下津井へ動画撮影に出かける予定でした。
しかし、期待していたようなまとまった雨にはならず、撮影できたのは玉藻公園だけ。
「雨の瀬戸内」を撮りに行ったのに、まさかの想定外の出来事でした。

なぜ、同じ四国でも香川県だけが雨を逃れたのか。
その理由は、四国山脈にあります。

香川県は、徳島県との県境にそびえる四国山脈の北側に位置しています。
南からやってくる大きな雨雲は、この山脈にぶつかって雲がせき止められるため、雨が山の南側(高知県・徳島県側)で多く降り、北側の香川県には届きにくいのです。

つまり、香川県は地形的に「天然の雨よけ傘」を持っている県ともいえます。
この地形がある限り、全国的に大雨の日でも、香川だけが曇り空で済むことが少なくありません。

実際、香川県は昔から日本でもっとも雨が少ない県として知られています。
降水量の少なさゆえに、古くから水不足が深刻な地域で、その対策として作られたため池の数は全国一
県内には大小あわせて1万5,000を超えるため池があるといわれています。

こうした歴史的背景もあり、香川県民にとって“雨”は貴重な存在。
雨の日の風景を撮影する私にとっても、香川での撮影は天候との根気比べのようなものです。

残念ながら、この日は玉藻公園(高松城跡)での撮影のみとなりました。
せっかく雨具を整え、カメラを準備していたのに、目的だった「雨の瀬戸内」を収めることはできませんでした。

それでも、玉藻公園の映像は新しい発見の多い撮影になりました。
空を映すお堀の水面、静かに揺れる松の枝、そして時折吹く海風の音。
大雨ではなくとも、瀬戸内らしい“静かな時間”を感じていただけると思います。

香川県は、地形と気候の影響で「雨が降りにくい県」です。
そのため、雨の風景を撮影するには、何度も天気とにらめっこをしなければなりません。
しかし、だからこそ1本の“雨の映像”には価値があります。

「降らない県・香川」で、次こそ本格的な雨を撮りたい――。
そんな思いを胸に、私は今日も天気予報を確認しながら、次の撮影場所を探しています。

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